来年3月に学部卒業を迎える学生たちが、卒業研究に着手し始めています。世間では卒論が卒業要件とされない大学・学部もあるようですが、勤務先では卒業研究が卒業要件になっています。
卒修論のための研究は努力でなんとかなるものの、博士研究では様々な点で苦労する学生が少なくありません。課程博士の場合、在籍年限が限られている上に、大学の仕事や雑用を任される機会が増え、時間的制約を抱える中で研究しなければなりません。大学教員の教育研究の負担が増大すると共に、その片腕としての役割を求められている博士課程学生の負担は増えつつあります。
よい成果が出るかどうかは、研究テーマやその展開可能性にも依存します。研究テーマを研究室のプロジェクトに依存しているケースでは、研究テーマの変更は研究室からの離脱を意味し、実態として困難です。もし研究室から離脱すれば、教員の指導を得ないで独力で研究テーマを遂行しなければなりません。博士課程に在籍している間、質の高い学術会議や論文誌に鮮烈なデビューを遂げることができるのは一部の学生に限られるでしょう。アカデミックポスト不足が深刻である昨今では、博士号取得後に大学でアカデミックポストを得て生活する道を早々に諦め、民間企業に就職していくケースが急増しています。任期付助手やポスドクとして働く若手が増え、人材は流動化していますが、人材の流通を支援する仕組みが追いついていないせいか、任期満了と共に失職するケースもあります。
こうした状況を優秀な研究者のみを残す「淘汰」の過程と考えれば問題は簡単に片付きますし、実際、どの世界でもこうした生き残りの厳しさは存在するでしょう。しかし、博士課程に進学する学生はもはや、無視できないほど増大しています。博士課程の学生採用から研究指導、修了後の進路支援、ポスドクの進路支援に至るまで、博士課程学生の入口から出口までのあり方を再考する時期に来ているように思います。大学では研究室単位でこれらの問題に対処しており、様々な問題が顕在化しづらい環境にあります。歪みや問題点を共有し議論できるようなよりオープンな場が必要であるように思います。 テーマ:研究者の生活 - ジャンル:学問・文化・芸術
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