研究室何処へ
研究室の日々,大学の日々を綴ります
公募書類の書き方(4)
 公募書類の書き方について、書いてきました。 
 いろいろと書きましたが、実際には、大学の教員採用に際して何が重視されるのか、ということは、一概にはいえないと思います。その大学が研究重視の大学であれば、研究歴や主要業績、論文、学会活動を重視してみられるでしょうし、教育重視の大学であれば、教育歴をみられるでしょう。大学によって、また、公募内容によって、重視されるものは異なってくるはずです。公募書類をよく見極めた上で、求められるポストと自分のもてるもののマッチングを、自分で図っていくことが必要です。そのために、自分で自分のことが見えていることが前提になります。

 おそらく、しっかりしたまともな大学であれば、研究も教育も、両方きちんとみていることは間違いありません。候補者の履歴書に対する選考委員の向き合い方は、お見合いの釣書に向き合う時のそれと似ているように感じます。帯に短したすきに長し、を天秤にかけながら、候補者を何段階かに絞っていき、最後にどこか妥協しつつ採用する、というケースも多いに違いありません。それゆえ、他の候補者としてどのような人が残るのか、ということにも左右されるはずであり、運もあるのだと思います。

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公募書類の書き方(3)
 公募書類の書き方で考えなければいけないもうひとつの要素は、教育経験、教育歴です。
 これは大学教員公募の場合、以前にもまして昨今、重要度を増してきているように思います。過去に、どのような科目をどの程度のコマ数、どの程度の期間で担当してきたのか、という情報は、採用の際の決め手になる可能性もあると思います。
 たとえば、その採用公募に「前任者」が存在する場合で、その前任者の科目をそのまま引き継いで担当することが可能な候補者が現れれば、新たに非常勤講師の手配をしなくてすむので、とても好都合です。また、自分の専門領域以外に一般的な基礎科目や演習科目など担当できるのであれば、それに越したことはありません。既にその組織にいる教員にとって、助けになる可能性が高いからです。競合する採用候補者がいて、公募が求める人材が担当するであろう科目で教育経験があること、幅広い領域を担当可能であることは、間違いなく競合する候補者に対して有利に働くに違いありません。
 候補者によっては、それまでの経歴から、教育経験がないケースもあると思います。若手公募の場合は教育経験がないこともやむを得ないとされますが、教授准教授クラスの公募の場合、大学での教育経験を持つ者による応募が増加するので、教育経験がゼロであることは不利に働く可能性が高いように思います。非常勤講師などで教育歴を作ること、社会的活動や職歴でカバーするなどの方策が有効な手段だと感じます。

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公募書類の書き方(2)
 公募の応募書類として、「主要業績」を示すケースがほとんどであると思います。この主要業績として、何を選定するのかも熟考すべきところです。anywhereの場合は、直近2、3年内で発表した単著あるいはそれに近いフルペーパーを前提とし、サーベイ論文や短報、紀要論文を除外した上で、トップジャーナルの掲載論文、学会受賞論文を「主要業績」として選んでいました。分野によって異なると思いますが、考え方としては、いずれも比較的新しい、研究上の要となるような論文であり、内容的にも「主要業績」と呼ぶにふさわしいものを意識して取り上げるのがよいのではないかと思います。

 更に、公募書類に教育研究に対する計画や抱負などの付随書類が含まれる場合は、わかりやすい文章で、自分がそのポストに就いた場合、どのような貢献ができるかを思いえがいて記述することになると思います。よくあるのが応募の年齢制限ですが、公募で示された範囲とかけ離れた年齢の応募である場合は、面接選考以前に選考から漏れる可能性が高いように思います。年齢は、既に着任している教員の年齢構成や大学運営上の要請(人件費)にもとづいて決まり、融通がききづらい条件だからです。

 なお、応募者について意見を聞ける方、として、数名の人物の名前や連絡先を書かねばならないケースがあります。大学の恩師や所属機関の上司が(折り合いがわるくなければ)適当であると思いますが、選考する側が独自の「つて」を使って、敢えてそれ以外の別な人物に意見を聞くケースも想定しておかねばなりません。情報のコントロールが難しいので、最善の策としては、応募者がそこに書いて当然と思われる関係にある人物の名前を書くしかないのだと思います。
 
 ここまでオープンな公募を前提に応募書類のことを書きましたが、そうではない公募も多いように思います。先方の大学から自分に声がかかるようになるまでには、地道な活動の蓄積が必要なのであろうと感じます。論文の数や質も重要ですが、それ以上に、教員たちが自ら「未来の同僚」を選ぶ、という構図の中では「人物」が重要と思います。

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公募書類の書き方
 教員公募書類の書き方を求めて、このブログを訪問する方が多いようです。おそらく、教員公募に応募される方がどのように書類を作成したたらよいのか、とても情報が少ないのだと思います。何か参考になることがあればと、すこし公募書類のことを書きたいと思います。以下はanywhereのこれまでの経験に基づくもので、しかも大学教員公募に限っての情報なので、必ずしもすべての公募に当てはまるわけではないと思います。その点を割り引いて見てもらえるとよいです。

 大学教員ポストでオープンな公募は、まずはJREC INや所属大学にくる公募情報で情報を得ると思います。公募書類は応募先の大学によって揃える書類が異なり、様式も異なりますが、基本形のCVをしっかり作っておけばそれをカストマイズすることで様々な様式への対応が容易になり記載事項の漏れもなくなります。それゆえ、基本形のCVにはあらかじめ、正確な情報を網羅的に書き留めておくことが必要です。
 
 公募情報の中には「分野」が書かれているはずで、この公募情報の専門分野を自分の専門領域とどのように重ねるかをよく考える必要があります。つまり、その公募がカバーすべきであろう分野はどの範囲かを、よく想像しながら考えなければなりません。既にその専攻・部門あるいは学科の教員の中に応募者と近い分野をカバーしている教員がいる場合、その応募者は採用されづらくなります。なぜなら、同じ専門分野の教員が2名に増えても仕方ないからです。
 一方、狭すぎる分野も嫌われます。特殊な分野にフォーカスする教員は、ある意味で厄介だからです。大学では教育という仕事が必須なので、一般的な講義演習科目をカバーできるだけの分野の広さと分野全体に対する力量が見えるように書類を作らなければなりません。

 業績については、きちんとしたフォーマットで適正な分類を行ったうえで整理して記述します。業績は多いに越したことはありませんが、多ければよいというものではなく、おそらく、数の多さ以上に業績の「質」をしっかり見られます。つまり、ジャーナル名や共著者の有無、論文内容です。応募者の研究の中心的な関心事項が何なのか、何を明らかにしようとしているのかが、見えている必要があります。また、研究内容の学問的な格調(品位)も問われます。アカデミアの香りがする業績を作るのは一石二鳥では難しいため、長年にわたる研究の方向性の蓄積が重要です。時流にのった研究が駄目というわけではないですが、同じであれば領域の中核的な問題をしっかりと扱う論文を持っている応募者を選ぶでしょう。大学によって違うとは思いますが、ちゃんとした大学では、選考委員全員が候補者の主要業績の論文を読んで評価すると思います。こうした評価がなされていることを念頭に、主要業績を選定することが必要です。

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教員公募選考(続き)
教員公募選考についての続きです。

公募のことを書こうと思ったきっかけは、公募に落ち続けている、ある友人の研究者の公募書類を見せてもらったことがきっかけでした。その公募書類を見て、anywhereには公募に落ち続ける理由が推測できました。公募書類に記載している専門分野を表現する「語彙」が悪いのです。

 本人はニッチな専門分野を表現するために特殊な分野名を示す語彙を使用して、専門性の高さを表現することを意図しました。しかし、大学はそのような特殊分野を専門とする人を必ずしも必要としているわけではありません。むしろ、大学は、着任時にその人物が担当予定科目を適切に指導できるか、という観点から専門分野を評価します。そして、その専門分野を持つ人がこの大学組織に必要か、ということを考えます。この時、あまりにもニッチな分野名が記載されていると、担当予定科目について標準的な講義トピックを取り扱えないのではないか、との誤解を招きがちです。そして多くの教員は、そんなニッチな分野だけカバーされても仕方ない、と考えます。あくまでも、公募に応募する書類では、「この科目であれば、この分野名が相応しい」と想定される専門分野名を公募書類に書かねばなりません。
 最近、大学でも若手のポストは任期付であることが多いので、今後、公募書類の書き方やノウハウを、大学が組織的に支援するといった取り組みが必要となるでしょう。マーケティング、という言葉が頭に浮かんでしまうようでは行きすぎかもしれませんが、おそらく、研究者が自分をアピールする際の方法を教える組織が必要なのだと思います。

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